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作品紹介

                                     塗装について    

 

塗装について、ご説明したいと思います

 

正直言いまして、塗装は出来るだけ軽く済ませたいと思っているのです

(作業工程において、一番苦労するのが塗装作業です)

 

ですが、皆さんもご存知の様に、魚が死んでしまっただけでも色が変わってしまい

生気のない色合いになってしまいますよね

 

ましてや、成型後にカラカラに乾燥させますと、更に変色が酷くなってしまいます

(魚種、個体、作業日の湿度や気温、などによって様々ではあります)

 

ここで、極端な例を紹介したいと思います

 

渓流のヤマメですが、パーマークがしっかりあり、側線に赤味や黄色味をおび

全体的にしっかり目の色合いの魚だったと言う事です

 

生きていた時のちゃんとした写真はありませんでした

(お腹を裂いてあった魚体です、尾鰭の骨もかなり曲がっていました)

 

※ お腹裂き、ヒレの修正など別料金は一切頂いておりません

 

肉・骨・軟骨・薄皮、取れる物は全て取り除いて成型乾燥後です↓

(ホルマリンは使用いたしません)

 

 

御覧の様に、パーマークは無く(パーマークは内側の肉の表面といいますか、内側の薄皮に色が在る様です)

ですから、パーマークがちゃんと残る事はほとんど無い訳です

 

顔は黒く、体は白くなり、ウロコの輝きも無い状態になってます

(基本的に乾燥後のウロコは、生きていた時の様には輝かず、体の色も茶色っぽく変色する事が普通です)

 

顔は殆どの場合、黒目になってしまうものです

世間的に、体に比べて顔が暗めの剥製が多いのは顔の塗装をあまりしないからだと思えます(?)

 

で、鰭の補強(修正)、裂いてあったお腹と干からびた顔に肉付けをし、口の中の物と目を入れて

 

塗装作業です

 

※ パーマークですが死後の魚体自体にも、うっすらとしか残っていませんでしたが、

皮を剥がした時、肉の表面にはしっかりと出ていますので、それを記録してあります

(ですから、いい加減に描く訳ではありませんので・・・)

 

 

顔の塗装には一番気を使っているつもりなのですが、大変難しいです

本流系の銀ヤマメの顔であっても、決して銀一色では無く、細かい汚れなどもあって複雑な色合いなのですが

この魚は渓流(沢)のヤマメですので、顔は更にもっと複雑で汚れた感じにしないといけません

一つの小さな点を描くのにも気を使います、バランス良く汚すのは中々シビレマス

 

 

 

ウロコですが、渓流のヤマメでも所々にキラキラ感がありますので

長短をつけて光らせます

 

パール系の塗料も使用しておりますので、本物の魚同様に光の強さや見る角度などによって色が変わって見えます

 

全体的にサビぎみの感じにしたので、側線の赤系の色はパッとさせてみました・・・

お腹付近は少し色むらにしました。

 

 

t次は、変色している岩魚の例を紹介したいと思います

 

お客様より、「変色してしまっているのですが制作可能でしょうか?」

という問い合わせがあり、「多少は見た目が悪くなってもかまわないです」

という事でした

 

到着解凍後の写真です↓

 

カラカラに乾燥させますと、黒い所は更に黒くなる訳です・・・

 

で、↓が生きていた時の写真です

 

 

変色が残っても構わないという事ではありますが

私としましては、出来る事なら「この魚の生きていた時」の様な色合いに仕上げたいと考える訳であります

 

 

顔は、迫力・生命感を増す為に多少はアレンジ致しますが

本物の様な透明感を出すのが難しいです

 

 

岩魚の顔は、大変複雑です

 

 

決して簡単に釣れる魚ではありませんし、決して安い料金を頂いている訳ではありませんので

どんな状態であっても 「出来る限り、その魚の生きていた時の仕上がりを」 と考えております

(解凍時の状態が良いにこした事はありませんが・・・)。

 

という訳ではございますが、悪戦苦闘の毎日でございます、塗装を簡単に済ませてしまいますと

死んだ時の生気の無い作品にしかなりません

 

とは言いましても、まだまだ活き活きとした本物の様な作品を作れるに至っている訳ではありません

 

一生勉強に違いありません

 

 

塗装についてでした。

 

(生きた時の良い写真や似た感じの雑誌などのキリヌキ等がありますと・・・たすかります)

 

 一心房